コラム

遺産分割方法の指定

弁護士 幡野真弥

 遺言を作成する際には、遺言で、遺産分割の方法を指定したり、第三者に分割方法の指定を委託することができます(908条)。

 遺産分割方法の指定には、現物分割・換価分割・代償分割といった分割方法を指定する場合のほか、特定の遺産を特定の相続人に相続させる内容である場合(特定財産承継遺言)があります。

  遺言で、現物分割・換価分割・代償分割といった分割方法 が指定された場合、相続開始時にただちに遺産分割の効果が生じるわけではありませんので、遺言が会っても、遺産分割協議・調停・審判といった遺産分割の手続を経る必要があります。また、遺産分割方法の指定があっても、相続人の協議によって、指定と異なる内容で遺産分割をすることは可能です。

 一方で、 特定財産承継遺言 がある場合は、遺産分割手続きを経ずに、特定の財産が、相続開始時に特定の相続人に帰属します(最高裁平成3年4月19日)。なお この場合も、相続人の協議によって、指定された遺産分割方法と異なる内容で、遺産分割をすることは可能です。