相続にまつわる話

民事信託

目次

信託とは

 信託とは、財産管理や財産承継のために利用できる契約等の仕組みをいいます。
 信託では、特定の者が、信託の目的に従い、財産の管理や財産の処分等の必要な行為を行うことが可能となります。

信託の用語

 財産を信託する人を「委託者」
 委託者から財産の信託を受ける人を「受託者」
 信託財産から生じる利益を享受する人を「受益者」といいます。

信託の目的

 信託は、財産の管理と、財産の承継のための制度です。

(具体例1)配偶者が亡くなって一人暮らしが長い高齢者のAさんがいて、資産としては賃貸不動産があるケースを考えてみます。Aさんには、Bさんという長女がいます。
 このようなケースでは、賃貸物件を信託財産として、Bを受託者、Aさんを受益者として信託契約を結ぶことができます。すると、賃貸物件をBさんが管理することとなり、Aさんは賃貸不動産の管理の負担をしなくてよくなります。そして、賃料収入は、そのままAさんのものとすることができます。

(具体例2)Cさんには、先妻との間に長男であるDさんがいます。Cさんには、後妻Eさんがいますが、Eさんとの間には子どもはいません。Cさんは、Eさんと共に、自分名義の不動産に居住しています。
 このようなケースで、信託を利用することにより、Cさんは、後妻Eさんに不動産を利用させ、Eさんが亡くなった後に、Dさんに不動産を取得させるといったことができます。