コラム

遺言書の検認

弁護士 幡野真弥

 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならないこととされています(民法1004条1項)。
 ただし、公正証書遺言と、自筆証書遺言の保管制度を利用した遺言書は検認はいりません(1004条2項、遺言書保管法11条)。

 検認は、相続開始地を管轄する家庭裁判所に対し申し立てることとされています。

 遺言書の検認は、遺言書の現状を確認することによって、偽造・変造を防ぐ証拠保全の手続きです。遺言の内容の真否や有効性等を判断するものではありません。検認を受けたかどうかは、遺言の効力とは関係がなく、検認を受けたからと言って、遺言が有効となるものではありません。

 封印のある遺言書は、家庭裁判所でなければ、開封することができません(民法1004条3項)。

 検認の手続きを怠った場合は、5万円以下の過料に処することとされています(1005条)。